骨なし

魚の切り身から骨が消えた。「骨なし」と書かれた真空パックの袋の中には、骨を抜かれておとなしくなった切り身が入っている。増えたのは「骨なし人間」だけだと思っていたら、魚まで骨がなくなってしまったのかしら。

 

私は刺身は苦手だが、焼き魚は大好物である。シニアナビの吾喰楽さんのブログには、いつもお魚が登場するが、焼き魚の写真を見ただけでよだれが出てくる。以前、父が大の魚好きで食べ方が芸術的だったことを書いたが、昔は魚を一匹まるごと焼いたものが食卓に並んだものだった。「骨が喉に刺さった」と言うと、母から「ご飯を丸呑みしなさい」と言われたことも懐かしい。

 

この「骨なし魚」は、病院食や給食に使われているらしいが、今ではどこのスーパーの店頭にも並んでおり、一般家庭の食卓にも乗る。実は先週、初めて「骨なしサバ」を買って来た。網で焼こうと思ったが、骨がないものだから、だらしなくでれ~っとしている。仕方がないので、小麦粉をつけてフライパンで焼いてレモン汁をかけて食べた。

 

「骨なし魚」に関しては、「これを食べて育った子どもは、魚には骨がないと思う大人になる」という意見や、「食べ残しがなくなり生ごみが減る」という意見もあり、賛否両論である。今の私には丈夫な歯があり、何でも美味しく食べているが、歯がすべて抜けた時には、ありがたい食べ物になるのかもしれない。